リーンスタートアップで起業の成功率を高める方法を徹底解説

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最近は副業を推進する会社が増えてきたり、ITが身近になったことで副業や起業を考えている人も増えてきたと感じています。
中でもビジネスのアイデアはあるんだけど、「顧客が獲得できるのか?」とか「十分な収入は得られるのか?」とか「自分でできるのか?」などなど考えて実際に行動を始めるのは不安って方も多いと思います。
実際に私もそのような不安を抱えていたのですが、”リーンスタートアップ”という考え方を知ってから、その不安が結構解消されたことを覚えています。

“リーンスタートアップ”がどういうものかと簡単に言うと「起業時の無駄を抑えて、起業の成功率を高める」方法です。起業するときは、あれも必要、これも必要と考えて、本当は何の価値も生み出していないモノに投資しがちです。それらの無駄を排除して起業の成功率を高めていく方法です。

そこで今回は”リーンスタートアップ”について書いてみたいと思います。
ちなみに”リーンスタートアップ”の全貌を書くと、とても長くなりますし、私も完全に理解している自信はないので、私の経験や考えをベースに私なりの解釈で書いていることをご了承ください。

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スタートアップが犯しやすい失敗

そもそもスタートアップは、世の中にない製品を創り出して世界を変えることに挑戦する集団です。つまり世の中にない製品ということは、その製品のためにお金を出してくれる顧客がいるかどうかわからない製品だとも言えます。
それにも関わらず、失敗している多くのスタートアップは、製品を作るために多くの人を巻き込み、多大な費用をつぎ込み、膨大な時間を費やして「誰も欲しがらない製品」を作ってしまっているのが実情ではないでしょうか。

私の経験でも(当時はまだ会社員ではありましたが)、WEBサービスの企画開始からサービスのリリースまで最低半年はかかり、そのうえ成功するかどうかは、リリースした後でないと分からないという状況で仕事をしていました。
正直なところ、数百万円(ときには数千万円)もかけて作ったサービスが成功しない時の精神的なダメージは大きいものですが、それでも会社が守ってくれるので、職を失うようなことはありませんでした。

しかし、会社を辞めて起業した場合では、最初に投じた数百万円、数千万円で失敗すると、ほとんどの場合、再起不能になります。

リーンスタートアップは、このような大きな失敗をする前に、仮説の検証(=実験)からの学びによって改善を素早く繰り返し、”顧客が欲しがる製品”を作り上げる手法です。

元々はITスタートアップ向けの考えですが、無駄を無くして”顧客が欲しがる製品”を作り上げるという点では、どんな業界の起業家でも使えるテクニックだと思っています。極端な話、蕎麦屋の開業にも使えるテクニックです。そう言った意味では皆さんに紹介する価値は十分あると思っています。

なお、リーンスタートアップを「無計画で、とにかくやってみよう」というやり方だと誤解している人もいるのですが、決してそんなことは無く、実験という形で仮説を立て、実際に検証することで学びを得ることがリーンスタートアップの進め方です。

完璧な製品に潜む罠と検証による学び

スタートアップの起業当初はたいていの場合、自分たちのビジネスプランが絶対に受け入れられると信じて製品開発を行います。そして自分たちが完璧だと信じる製品を作るために、どこに出しても恥ずかしくない品質、機能を追求した製品を作ります。そのため出来上がった製品は顧客にとっては使いこなせないような複雑な機能が多くあったり、過剰な品質であったりします。そして、それを作るために多くの時間やコストをかけてしまいがちです。

しかし製品をリリースした後に、それらの機能を誰も使ってくれなかったら、そこまでの努力は無駄だったということになってしまいますね。

これはつまり製品開発をする前に、
・そもそも顧客自身が問題に気付いているのか?
・解決策があれば顧客はそれにお金を払うのか?
・我々から買うのか?
こういった問いに対して検証が行われないまま、製品開発をしてしまい、結果として仮説が間違っていた場合は、それまでの努力の多くが無駄だったというパターンです。

検証による学び

検証による学びでは、努力のうち顧客にとって価値を生み出しているのはどの部分で、無駄なのはどの部分なのか?を見つけていきます。
つまり「何が顧客にとって価値を生み出すものなのか」を早期に発見し、「その製品や機能を作るべきか」という問いの答えを見つけることが、検証による学びの目的となります。

ここで一つ例を考えてみましょう。例えばあなたがコーヒーが大好きで、まだ日本では紹介されていないAという国のコーヒー豆を輸入し販売することを考えたとします。「日本にA国のコーヒーはないから今のうちに独占販売をして大儲けだ」という目論見です。

この場合、根本的な仮説は以下のようになっていると思います。
・日本のコーヒー消費者は、現在日本で手に入るコーヒーでは満足できていない
・A国のコーヒーという希少性があれば喜んで購入してくれるはず

そして実際にあなたは、そのコーヒー豆を販売するために、大量にその豆を輸入したとします。豆を焙煎して販売するお店も借りました。改装費用には1,000万円かけてこだわりの内装にしています。忙しくなるといけないので店員も二名雇いました。インターネットでの販売も開始しました。
お店を持つんだからこれくらいの投資は当然だとあなたは考えていました。
結果として、コーヒー豆はインターネット販売でそれなりに売れましたが、お店での売り上げはほとんどありませんでした。

ここでもう一度仮説を見てほしいのですが、ポイントはこの仮説を検証するために、コーヒー豆を”大量に”輸入する必要はあったのか?お店の改装に1,000万円かける必要があったのか?そもそもお店は必要だったのか?店員も必要だったのか?という問いです。
結果から見るとそれらは全て無駄だったと考えられます。
顧客にとって価値を生み出しているのが仮説の通りであることを確認するためには、少量のコーヒー豆を輸入してから、インターネットで販売してみたり、他のコーヒー豆を販売しているお店に置いてもらったりすれば十分検証できたことになります。

資金が尽きる前に成功する

この様に検証による学びでは、努力のうち顧客にとって価値を生み出しているのはどの部分で、価値を生み出していない無駄な部分はどこなのかを学びます。
そして何が顧客にとって価値を生み出すものなのかを、できるだけ無駄なく早期に発見することで、”資金が尽きる前に、持続可能な事業を構築”することを目指します。

MVP:Minimum Viable Product

検証は<構築-計測-学び>のサイクルをいかに早く回すかが成功のカギとなります。顧客のニーズに対する仮説を立て、それを実際に行動に移すことで計測し、その結果から学ぶことを繰り返します。

その確認に利用するのがMVP(実用最小限の製品)です。
従来の製品開発では長い時間をかけてじっくりと開発し、完璧な製品を作りあげます。MVPはそのような完璧な製品とは異なり、基礎となる事業仮説を最小限の労力で検証するために用いる不完全な製品となります。
つまり、MVPの機能や品質に対しては、顧客のニーズの存否を確認し、ビジネスモデルを検証する目的を達成できればそれで十分と考えます。

それでは、”The Lean Startup”(エリック・リース著)に出てくるMVPの例をいくつか見てみましょう。
・グルーポンはブログでTシャツを販売し、クーポンはPDFをメールで送るところから始めた。それでもコンセプトは十分に検証することができた。
・ドロップボックスは製品が出来上がる前に、サービスを説明するための動画を作った。動画は何十万人という人に見られ、その製品を顧客が欲しがるという仮説を検証できた。
・一週間分の献立と食材のレシピを送ってくれるWEBサービスでは、最初はCEOが毎週顧客の家に行き、その週の献立と自ら近所のスーバーで買い出しをした食材を手渡ししていた。顧客が増えるに従って個別対応が難しいところから処理を自動化していった。
・ユーザーの質問に対して最適な答えを回答するWEBサービスでは、ユーザーからの質問に対し、最初は人間がコンピューターのふりをして回答していた。最適な回答を提示するという技術的に難しい処理を開発する前に、そもそも製品は使ってもらえるのかという検証を行った。

これらの例に共通しているのは、最初から完璧な製品を作らずに、ニーズの確認を行っている点です。この方法なら「最初の製品を開発するために資金を使い果たしてしまった」という事態は避けられるでしょう。

それではMVPを使って繰り返し実験をおこなった結果、何を根拠にして「我々は持続可能な事業を構築している最中である」と言えるのでしょうか?
そのために利用するのが「革新会計(イノベーションアカウンティング)」と呼ばれるものです。

革新会計(イノベーションアカウンティング)

不確実性が高いスタートアップでは、精度の高い予測や目標を立てることは難しく、一般的な管理会計で評価することは適していません。そこで、スタートアップが順調に持続可能な事業構築を行えているかを計測するのに用いるのが革新会計です。

革新会計は以下の順番で進めます。
1.会社の現状を示すデータをMVPから得る
2.理想状態へのチューニングを行う
3.理想状態へ進めていない場合はピボットする
理想状態というのは、将来的に事業が成功した時の状態のことです。この状態へ事業が向かうように日々チューニングを繰り返し、検証による学びを得ます。
そして順調に理想状態に近づいているときは、そのままチューニングを繰り返しますが、逆に理想状態の実現が困難であると分かった時には、思い切って別の事業へ戦略を転換します。このことをピボットと呼びます。

評価基準

私の経験でもそうですが、新しいプロジェクトを始めた時は、評価基準をユーザー数やPV数などの絶対数に設定しがちです。ユーザー数が伸びていれば、そのプロジェクトはうまく行っていると感じることもできますし、他の人にそう伝えることもできます。

ここで起こりがちなのはユーザー数が伸びていても、有料ユーザー数は増えていないことであったり、PV数が増えていても広告収入は増えていないという状況です。絶対数で評価するとつい自分達に都合のいい数字だけを見てしまい、うまく行っていると信じてしまいがちですので注意が必要です。

革新会計では、こういった誤解を回避するために、絶対数ではなく、登録率や課金率、定着率、紹介率など、”率”に注目します。
例えばユーザー数が伸びていても課金率が低いままでは成長しているとは言えないと判断できますし、逆にユーザー数がそれほど伸びていなくても課金率が高くなっていると成長できていると判断できます。
また、定着率を上げるための仮説を実行しても定着率が上がらなかった場合は、その仮説は有効ではなかったと学ぶことができます。

ABテスト

ここで注意が必要なのは、学びを得るために複数の施策を同時に行わないことです。例えば紹介率を増やすために、友達を紹介しやすくする新機能の追加と、紹介キャンペーンを同時に行ってしまうと、紹介率が伸びた時にどちらの施策が効果があったのか学ぶことが難しくなってしまいます。

逆に学びを得るために有用なのはABテストです。例えば友達を紹介するための新機能を付けた場合と、付けていない場合の両方を用意し、同時に半分ずつのユーザーを振り分けて使ってもらえば、新機能によって紹介が増えたのかどうかを検証し学びを得ることができます。

ピボット

ここまで書いてきたように、理想状態に近づくために日々チューニングを繰り返し、検証による学びを得ていくわけですが、成果を計測をしていく中で、理想状態の実現が困難であると分かってしまう場合もあります。こういった時には、思い切って別の事業へ戦略を転換します。このことをピボットと呼びます。

「価値仮説」と「成長仮説」

ピボットの話をする前に、理想状態を考える際に重要となる「価値仮説」と「成長仮説」という二つの仮説の話をします。
「価値仮説」とは、「提供する製品やサービスが顧客にとって本当に価値のあるものかどうか」を確認するためのもので、簡単に言うと「売れるかどうか?」を検証するための仮説です。

製品のアイデアが思い浮かんで実際にリリースしてみたけど、まったく売れなかった。これは「価値仮説」が実証できなかった状態と考えられます。

次に「成長仮説」ですが、これは「価値仮説」が検証できた後に、その製品が持続的に拡大していくかを検証する仮説です。
つまり、「スケーラブルであり、多くの顧客に販売して儲けられるか?」ということを検証するための仮説です。

いわゆる地元に根付いている中小企業や、個人事業主が行っているスモールビジネスで成功している状態は「価値仮説」が正しく検証できている状態だと考えられます。そこからさらにスケールして全国規模、世界規模の事業になると「成長仮説」が正しく検証できたと言えるでしょう。

ピボットの方法、考え方

さて改めてピボットの話に戻りますが、「価値仮説」と「成長仮説」を検証していく過程で、学びの中から間違いに気づくことがあります。
そもそも「価値仮説」が検証できないといった状態や、「価値仮説」は検証できたけど、このまま進めてもどうしても「成長仮説」が検証できないといった状態です。

こういった時に行うのがピボットです。
ピボットとは、製品のチューニングだけでは改善できない場合に、ビジョンを変えずに行う戦略転換のことです。
ただし戦略を転換するからと言って、それまでにやってきたことをすべて捨て、一からやり直す必要はありません。そうではなく、それまでに作ったものや学んだことをベースに、その目的を変えて再利用し、もっと優れた方向をみつけるのが正しいピボットの方法です。

ここではYouTubeとグルーポンのピボットの例を紹介します。
YouTubeはもともとはデートする相手を探せるサイトで、その一機能としてビデオ共有を提供していました。しかし、デート相手を探している人よりもビデオ共有を利用する人が多いことに気づいたYouTubeは、ビデオ共有一本に絞り込んで成功を収めました。
グルーポンは初めはオンライン募金のサービスとしてスタートしましたが、まったく成功しませんでした。しかし募金が一定の額に達しない限りは募金者にチャージされないという仕組みがあり、その仕組みをクーポン購入に応用(購入者が規定人数に達しないとクーポンが購入できない)することで大成功しました。

この様にピボットにおいて重要な点は、「軸足」を置いて方針転換をするということです。
当初の仮説と違ったからといって、また一から新しい事業を始めるのではなく、そこまでに得た学びや、製品の一部を利用して、さらなる成長法則を作り出すような転換を行うことです。

ピボットの必要性

別の事業へ転換することは、今までの努力を切り捨てることにつながるかもしれませんが、理想状態へ近づけるために下さないといけない重要な判断です。
なぜなら、資金に限りのあるスタートアップにとって最も重要なことは、会社が倒産してしまう前に、成功する事業を見つけ出すことだからです。

このように革新会計を使いながら事業の計測を続けるうちに理想状態の実現が困難なことが判明することがあります。その時に行うのがピボットです。ピボットでは事業戦略の転換を行いますが、その時には事業をまた一から始めるのではなく、それまでに学んだ知識や作ったものをベースに転換を行います。
ピボットを繰り返し行うことで、会社が倒産してしまう前に成功する事業を見つけることがスタートアップにとって重要なことです。

まとめ

「起業時の無駄を抑えて、起業の成功率を高める」方法であるリーンスタートアップを解説しました。
私もPVモンスターというマッチングサービスを開発・運営していますが、かなりこの方法に基づいて進めてきました。
実はその前に作ったサービスでは「価値仮説」の検証はできたのですが、「成長仮説」の検証ができなかったため、ピボットをしています。
PVモンスターでは「価値仮説」と「成長仮説」の両方とも検証できたので、このまま成長のフェーズを駆け上がりたいと考えています。

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